What's 耐震Column

vol. 11

2019年2月28日 公開

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家の寿命って伸ばせるの?

今回は寿命の長い家、つまり耐久性の高い家づくりのお話です。

多くの方にとって、マイホームは最長35年の住宅ローンを組んで購入する「一生に一度」の大きな買い物です。当然ですが、すぐに寿命が来てしまうような家にはしたくないですよね。最低でも住宅ローンの返済期間は問題なく住めて、できればその後も安心して暮らせて、最終的には子供たちにも立派な「資産」として残していけるような家でありたいものです。そのためには家づくりの最初にしっかりと知識を学んでほしいことがあります。

一言で、「家の耐久性」といっても、その意味合いは2種類あるのを知っていますか?それは「物理的な耐久性」と「機能的な耐久性」の2つです。「物理的な耐久性」とは、建物そのものが耐久性を持っていることです。その最も大事な部分が「構造躯体」となります。キッチンやトイレ、給湯器、クロスなどは後から交換することも想定できますが、「構造躯体」を交換することは、家づくりの前提として考えられないはずです。その「構造躯体」を構成する「木材」や「鉄」「コンクリート」が、どれほど耐久性を持っているのかは、とても重要なテーマです。

木造住宅の場合は「木材」が主の構造となります。 まず、この「木材」という材料の耐久性について考えてみましょう。「法隆寺」をはじめとする日本古来の建物は、ほとんどが木材で建てられていることからもわかるように、「木」は本来、非常に耐久性の高い材料です。しかし、それには前提条件があります。

木材にとって最も大敵なのが「腐り」と「シロアリ」です。言い方を変えれば、この2つから守るという前提条件が備わっていれば、木材は非常に耐久性の優れた材料ということなのです。 そこで、あなたの家が「どのように、この2つから守る設計施工がされているか」という点を見極める必要があります。

例えば、

  • ◎構造躯体の中に湿気がこもらないように壁の外側に通気がとられているか
  • ◎床下に湿気がこもらないように設計されているか
  • ◎金物部分の結露対策は充分か
  • ◎シロアリ対策に最適な設備や処理が施されているか

という点です。また、雨漏りなどからも湿気が家の中に入ってくる可能性もあるので、そのあたりもどういう意識を持って施工しているかをぜひ工務店さんに質問してください。

また、長く住むうえではメンテナンス性も大事になります。長期優良住宅ではそこも条件に入っているので、できればその仕様にしていただくと安心です。

ではもう1つの「機能的耐久性」ですが、それは「ライフスタイルが変わっても機能として長く住み続けられる家か」という点です。家を購入してから何十年もの間、その家に住み続ける過程で、家族構成を含めたライフスタイルは大きく変わります。さらに、子ども世代に引き継いでいくならば確実に大きな変化があるはずです。建物自体の寿命に問題はなくても、その活用方法に限界が来てしまうことは充分に考えられます。
よくあるお話が、家族構成が変わったので「2つの部屋を3部屋に変更したい」とか「部屋を1つ無くしてリビングを大きく広げたい」など大きく間取り変更をしたいが、耐震性を損なうので望むように変更できなかった、というようなパターンです。

マンションなど鉄筋コンクリート造の建物では、このようなことはありません。 最近流行のマンションリノベーションでは、部屋の間仕切りを全て取り払って、全く新しい間取りに変えてしまうことが当たり前です。これは構造躯体自体を大空間で構築しているので、部屋の間仕切り壁そのものは構造躯体ではなく、いかようにも変更が可能という特性があるからです。このように、「構造躯体」と「間仕切り壁・設備等」を別々に設計する考え方を「スケルトン&インフィル」と呼びます。中古戸建に比べて中古マンションの売買が活発なのはこのような理由も大きいのです。

しかしながら、2×4工法や在来工法による木造住宅では、耐震性を高めるために多くの柱や壁が必要となります。それゆえに部屋の間仕切り壁も構造躯体の一部になっていることで、間取り変更が難しくなります。無理やりそれらを取ってしまうと、著しく耐震性を落とします。「耐震性を向上させるために多くの耐力壁を作るほど間取り変更が難しくなる」という大きな矛盾が生じてしまうというわけです。その矛盾点を考慮しながらも、将来的な変更も考えて最初の設計をしておくことで、少しでも機能的な耐久性を向上させる工夫をしてほしいものです。

もしくは、こういった矛盾そのものを解消するために、木造住宅で「スケルトン&インフィル」の考え方で設計するのに最適な、壁の少ない「ラーメン構造」という性質を持った構法で建てることも一つの答えになります。

このように、最初の家づくりの時点で家の耐久性についての考え方をしっかり持って設計を進めていけば、将来、ライフスタイルの変化に対応できる家となるでしょう。万が一、家を手放すことになったとしても、そのメリットを感じてくれる買主が現れる可能性が高くなり、まさに「資産価値」の高い家にもつながります。 そして、長く暮らすには、いつ大地震がきても大丈夫な家にするということも地震国日本では寿命の長い家にするという大事なことでもあります。これはこれまで解説してきたことも参考にしてください。

「物理的耐久性」と「機能的耐久性」の二つの考え方を持って、耐震性の高く長持ちする寿命の長い家づくりを実現してください。

text.後藤俊二(住宅コンサルタント)