コラム 地震のココロ構え

ライフスタイルの延長で考える、親と子の防災。

2016/06/14

冨川万美さん

とみかわ・まみ● NPO法人『ママプラグ』副代表。クリエイティブな視点で社会問題を解決するプロジェクトを展開。防災力を楽しく身につける「ACTIVE防災」活動では、アクティブ防災講座事業、ファシリテーター養成事業などを行う。ママプラグの編集による著書に、『防災ピクニックが子どもを守る!』『被災ママ812人が作った 子連れ防災実践ノート』『被災ママ812人が作った 子連れ防災手帖』がある。www.active-bousai.com


大切なこととはわかっていても、つい後回しになってしまう家庭での防災対策を、子どもを持つ母親の目線で考える、NPO法人『ママプラグ』が提案する「アクティブ防災」。

楽しく学び、賢く備え、自分で考え行動できる防災対策として、さまざまなアイデアを提案している。


小さな子をもつ家庭、特に日中、子どもと過ごすことの多い母親にとって、地震への備えは欠かせないこと。「これまで子連れの防災については、あまり注目されてきませんでした。小さな子どもなら、自分で守れるだろうと思い込んでいる人が多いのです。ところが、東日本大震災を経験したママたちの話を聞くと、『自分で守れると思っていたが、簡単ではなかった』という人が多くいました」と語るのは、NPO法人『ママプラグ』の冨川万美さん。

ママプラグは元々、クリエイターが集まり、母子をサポートする活動をしていたが、3・11後は拠点がある地域でも、福島県から多くの母子避難者の受け入れが始まり、「被災地には行けないけど、育児中の自分たちにもできる手助けをしたい」と、楽しみながら小さな収入を得られる作業の場をつくった。

ミニ・トートバッグにみんなで色を塗り、販売するという集まりを開催するうちに、被災のリアルな体験談を聞くことが増えた。「聞いたままにするのではなく、形に残すことで、ママたちの防災に役に立つのでは? と思うようになりました」。

編集や出版などの仕事に携わるメンバーの多いママプラグは、被災した母親の声を集め、震災から約1年後に『被災ママ812人が作った 子連れ防災手帖』を出版した。

 

家族みんなで

防災を暮らしの中に。

 

「本を出版すると、多くの人から反応があり、生活者目線の防災の知恵をシェアすることの重要性を再確認しました」。そしてママプラグが始めたのが、これらの体験談を人々に伝えることだった。「子連れ防災」についていっしょに考え、その方法を広めていくことにした。

「人は誰でも、暗い未来に投資はしたくないものです。これが、家庭での防災計画がうまく進められない理由のひとつです」。多くの人と防災について話し合うなか、そんな背景が見えてくると同時に、解決法も見えてきた。「暗いイメージではない備えもあるはず、楽しかったら積極的にできそうだ」と考え、レジャー(楽しい)と防災(暗い)を結びつけることに。

キーワードは、「アクティブ防災」。家の中で安全な場所はどこか? を家族で話し合ったり、おいしい非常食を探すためレトルトやインスタント食品を試食したり……。防災を前向きにとらえ、楽しみながら暮らしの中に取り入れることを提案した。

さらに避難グッズを屋外に持ち出し、お弁当代わりに非常食を食べる、お湯を沸かしてみるなどを体験する「防災ピクニック」も実践中。名前は防災だが、

子どもには楽しいピクニックだ。それで十分、もしもの時に役に立つ技術が身に付くという。

「『防災』目線で子どもと出かけてみると、わが子が『できること』と『できないこと』がわかり、今後の対策に役立ちます。わが家では、公衆電話のボタン式ダイヤルの使い方を知らず、スマホのように画面をタッチしていました」と笑う冨川さん。ママ目線の暮らしに根付いたアイデアこそ、実践的に役立つ防災となるのだろう。

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