コラム 地震のココロ構え

キーワードは、「楽しみながら」です。

2016/06/14

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ハセベケンさん

はせべ・けん●1972年3月、東京都渋谷区神宮前生まれ。渋谷区議会議員、NPO法人『green bird』創設者。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店『博報堂』を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人『green bird』を03年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月の渋谷区議に初当選から、3期連続トップ当選。


ふだんから楽しみながら、身近に防災を考えること。
そのワンステップとして、キャンプイベント型の
防災訓練を立案したのは、『green bird』創設者のハセベケンさんだ。
住む人、働く人、みんなが共生でき、
災害時に適切な行動ができる都市コミュニティについて話を伺った。


キーワードは、「楽しみながら」です。

東京・渋谷の代々木公園で一夜を明かす。アウトドアでキャンプしながら、被災訓練を行う「SHIBUYA CAMP」は、2012年に始まった。これは、災害時には20万人の避難所として設定されている代々木公園と明治神宮に、実際に寝泊まりしてみようという防災訓練なのだが、どこかワクワク感に溢れたイベントでもある。「楽しさと防災を掛け合わせたくて、以前勤めていた会社の後輩・大木秀晃君と構想を練りました」と話すのは、NPO法人『green bird』創設者のハセベケンさんだ。
green birdは、2003年に東京・原宿、表参道からスタートしたボランティアによるゴミ拾いプロジェクト。地域の住人や、周辺に勤める人たちを巻き込んで行ってきた活動から、見えてきたことがあるとハセベさんはいう。「都市部の場合、災害が起きて被災するのは、その地域に『住む人』だけではありません。ここで『働く人』や『遊ぶ人』など他所から訪れている人も多くなります」。つまり、地域の住人だけを対象とした防災計画では不十分なのだ。
さらに、「地域で行う避難訓練を見てみると、参加しているのはお年寄りや子どもに偏りがち。災害が起こったとき、助ける側に回るのは、若い元気な人たちなのに、地域には、そうしたコミュニティリーダーが不足しています」。
それでは、どうすれば?「コミュニティリーダーは、必ずしもその地域の住人でなくてもよい。むしろ、その場にいるすぐに動き出せる人のほうが重要です。都市部では、自治体と周囲の企業が協定を結ぶなどして、災害に備える必要があります」。
夜間人口と昼間人口の差や居住者の高齢化、若者の関心のなさなど、非常時に顕在化する様々な課題を抱える都市ならではの防災手法を、ハセベさんは考えている。

楽しみながら、
防災について体得する。

「コミュニティリーダーの存在とともに、緊急時に活躍を期待される若い人に地域の課題に参加してもらうには、まずは興味を持ってもらうことが重要です。『面白そうだから、参加してみようかな?』でもいいと思うのです」というハセベさん。「SHIBUYA CAMP」の場合、興味本位で参加してみたら、実際には想像以上に大変な一晩を過ごすことになる。硬い地面や物音、寒さ……。そんな体験が、災害の備え、避難生活へのココロ構えへとつながる。
「楽しいとかイベントと聞くと、不謹慎に感じるかもしれませんが、日常的に『防災』について考えていくためには、『楽しみながら』というキーワードは大切だと思います。つまらない、興味がないのでは、体得することはできませんから」。
社会課題をイベント化することで参加性を高め、それら課題を日常に落とし込む。ゴミ拾い活動も、被災体験も……。それがハセベさんが行っている、ソーシャルデザインなのかもしれない。

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